精神科訪問看護の例

Aさん

  Aさんは、相手のささいな言葉に傷ついたりイライラして、苦情を言ってトラブルになったり、相手が去っていくことが多くありました。

 看護師は対話の中で、Aさんは相手のミスが許せないのではなく、不安な気持ちを苦情で示していることに気づき始めました。そのため、苦情の内容を聞いて終わりではなく、その後ろにある不安に一緒に向き合い、受け止め、安心できるような話し合いを重ねました。また苦情では相手の反応がわからず余計に不安になるので、直接相手に思いを伝えてみる練習も始めました。

 そうすることで、Aさんは自分の気持ちが整理でき、相手に怒りをぶつけて関係が切れてしまうのではなく、自分の気持ちを相手に伝えて話し合うことで、より良い関係を築けていけるようになりました。

Bさん

 Bさんは以前通うところがありましたが、次第に行けなくなり、何年も家にひきこもっていました。一緒に暮らす家族は、Bさんが一人きりになってしまうのではないかと心配でした。

 看護師がご自宅に伺うようになりましたが、Bさんは看護師に「きらい」「くるな」と何度も訴えました。しかしそれは本心ではなく、また見捨てられるのではないかと不安でいっぱいなのではないかと、看護師は感じました。
看護師は、Bさんの本当の気持ちを受け止め、何があっても見捨てることは無いことを何度も伝えました。

 そうすることで、Bさんは看護師に辛い言葉をぶつけることがなくなり、看護師以外の人ともまた関わることができるようになりました。そして、また外に通っていけるようになりました。

他にもたくさん例はありますが、このように私たちは利用者さんの理解者になれるよう、利用者さんの思いに触れ、受け止めることを大切にしています。その上で、どう工夫すれば生きやすくなるのかを一緒に考え、取り組んでいっています。